住まいにおける温故知新 3
2023年03月30日 12:00 pm カテゴリ:家づくり事始め
こんにちは、
スローハンド代表の森田です。
縁側と同じように、昔の日本の家屋におなじみなのが土間空間です。
スローハンドでもかなりの確率で取り入れています。
昔の家では玄関から中に入ると奥まで土間が続き、
その先にいわゆる台所があり、そこで煮炊きをしていたという生活でした。
もうそういうカタチはまずありませんが、昔の家は、土間が家の中までというか、
半分近くが土間だったので、その恩恵もありますが不便な点も多くありました。
そのまま現在の生活に取り入れるとむしろ快適ではなくなります。
一番に挙げられるのは寒いこと。
土間は冷気を誘いますので、特に冬場の家事は大変だったと思いますね。
ただ、逆に夏はひんやりして涼しいので、過ごしやすかったと思います。
よく持ち出される吉田兼好の「徒然草」の一説
“家の作りようは夏を旨とすべし”の言葉どおり、
土間はある意味夏向きの造りでもあります。
現在の家づくりは、国策的に省エネ住宅推進ということもあって、
夏を旨としながらも、冬をより旨とすべし…とでも言いましょうか、
断熱・気密をよくして家を外から閉じる方に重きをおいています。
ですから土間空間を設けるときは、そのあたりとの兼ね合いをよく考える必要があります。
よく、玄関から土間空間をつなげてそこで何か作業ができるようにしたい
というご要望もありますが、どちらかというとお勧めしません。
玄関はダイレクトに外とつながっています。
そこで何か作業をするために土間を設けるとなると、
外の空気を誘う面積が大きくなってしまいます。
これは家の温熱環境にマイナスになります。
ですから、それを軽減するために建具で仕切りをいれますが、
そうすると土間とのつながりはなくなってしまいます。
玄関から続く土間は、できるだけ収納空間として活用するほうがよいと思います。
また、北側に土間空間をもってくることもあまりお勧めしません。
北側は太陽が通らないので土間には陽が当たらず、ずっと冷たいままです。
土間は土ではないにしても、土系の素材で仕上げます。
その素材の特性をうまく活用するのがダイレクトゲインです。
そのあたりは次回にお伝えします。