住む人にまで引き継ぐ「考え方」2
2023年09月27日 12:00 pm カテゴリ:家づくり事始め
こんにちは、
スローハンド代表の森田です。
先週に引き続き、わたしたちが取り組むソーラーシステムについてお伝えしたいと思います。
前回、太陽熱利用ソーラーシステムの真髄は、「輻射暖房」にあるとお伝えしました。
そして、それにも増してその考案者である奥村昭雄先生が住まいにおけるあることの
重要性を強調されていたとお伝えしました。
その強調されていたこととは、「換気」の重要性です。
これは日ごろ、私もお話していますが、暖房と換気は相反するもので、
家の中を暖めるということは室内の空気を閉じ込めて、
冬場の冷たい外気をいれないことが肝要なのですが、
そうすると室内の空気質が悪くなるので、換気はどうしても必要になります。
換気をすると外の新鮮な空気を入れると同時に温度も下がりますから、
より暖房をしなくてはならないわけですよね。
太陽熱ソーラーシステムは、外気を太陽熱で暖めながら家のなかに取り込んでいますから、
いわば、暖房と換気を同時に行っているわけです。
おおむね1時間で家の中の空気が入れ替わっている感じです。
これはほんとうに画期的なことだと、長年住宅に携わっていると余計にそう思います。
他にも省エネに貢献するとか、環境にやさしいとか、いろいろありますが、
正直私はそのあたりは結果的にそうなってよかったね、というスタンスで
そのことを一番の目的にしてソーラーシステムに取り組んでいる感じではないです。
まず、暮らし。
それぞれのご家庭の暮らしの質を高めること。
そうすると愛着が湧き、大切にします。
大切にすると長持ちしますから、結果的にヒトにも地球環境にもやさしいし、
結果省エネにもなると考えています。
私はこれをパッシブ5段論法といっていますが、共感してくれるとうれしいです。
最後にこの仕事を続けていく上でもっとも大事にしている
奥村先生の残された一説をご紹介します。
「パッシブシステムというのは、『設計のやり方』で冬暖かく、夏涼しい家をつくるやり方です。
日本の伝統的な住まい方と根本的に違うものではなく、それをより意識的、計画的にやろうとするものです。
パッシブシステムという特別な装置があるわけではなく、設計の始めから施工の終わりまで、
そして住む人にまで引き継がれる『考え方』です。」
パッシブな暮らしは設備や工法ではなく、考え方でカタチになるものです。
軒を深くしたり、開口を広く取ったり、引き戸を多用したり、庭に落葉の木を植えたり、
敷地に余白を残したり、考え方をカタチにすることで、暮らしの質がずいぶん変わると思います。
その考え方を多くの方に伝え、共感してもらい引き継いでいただくことがスローハンドの仕事です。
そう考えて20年積み重ねてきました。