外観でわかる良い家とそうでない家の見分け方 1
2023年06月28日 12:00 pm カテゴリ:家づくり事始め
こんにちは、
スローハンド代表の森田です。
今回から「外観でわかるよい家とそうでない家の見分け方」と題して
これから家づくりを検討される方にとって、何かしら指標となることを
お伝えできたらと思います。
世の中にある製品で、こんなに注文がきくものって家だけじゃないでしょうか?
車だって家電だって食器や衣服もほとんど出来上がったものを購入しますよね?
でも家は、建て主さんとつくり手が時間をかけてほとんどゼロから作り上げていくものです。
ハウスメーカーのプレハブ住宅や建売住宅なんかは少し違いますが、
ぼくら工務店はほぼそういうやり方で家づくりをしています。
それがゆえ、いろんなプロダクトがあって、
正解がわかりにくいというのも、ある意味家づくりの問題点でもあるんです。
そんななかで自分にとっての正解を探しながら間取りを考え、
仕様や設備を考え、お金のことも考え、場合によっては家族との調整もして
建てる業者を決めないといけないわけですから
家づくりって結構たいへんなことですよね。
でも、あらかじめ指標を持っていれば、そういう事柄もかなりスキップできます。
多くの方がデザインとかスペックとかわかりやすいところだけをみて
具体的な計画に入ってしまっていることが多いように思います。
もちろんデザインもスペックも指標として大事なのですが、
もう少し踏み込んで見ておくべくだと思います。
見分け方なので、あまり観念的なことを言ってもいけないので、
ストレートにこういう家がいい、こういう家はよくないという感じで
お伝えしたいと思います。
今でも根強く「デザイナーズハウス」なる家がありますが、
そういう家の特徴のひとつとしてシンプルな箱型というものがあります。
窓も抑制的で1箇所に集中して設け、あとは、壁で構成されている
そんな感じのイメージです。
こういう家を正直あまり感心せずに見てきました。
もっとも感心しないのは、特に南側の軒を全く出していないこと。
日本は、特に太平洋側は夏の日射がかなり強く、
それを家に取り込んでしまうと暑さに耐えられない家になってしまいます。
それを防ぐために昔から軒を深く出して、夏の日射遮蔽を建築として対処してきたのが、
日本の民家のあり方でした。
南側に大きな建物があったり、隣家との距離が近くて、
逆に軒を設けると常に日射が得られない…というような場合は
むしろ設けない方がよいのですが、
十分な条件を満たしているにもかかわらず、日射遮蔽の対策をしないと
特に夏の暮らしは、決して心地よいものではありません。
スローハンドでもごく初期の頃、南側が大きく開けた立地でありながら、
軒を設けなかったお宅を手がけたことがあります。
もちろん、こちらは提案をしましたが、
建て主さんは、高度成長期の頃に建てられた古い社宅に10年近くお住まいで
その社宅がうす暗い、湿った感じの住まい環境だったんですね。
そういうこともあって、眩しいくらい陽ざしを受けて暮らしたいと、
懇願に近い感じでお願いされ、
こちらとしても軒をつけないこととしたわけです。
その建て主さんはご入居後しばらくして海外転勤になってしまい、
しばらく日本を離れることになってその留守中、
スローハンドで建物をお借りすることになりました。
期間にして5年弱、お借りしている間にいろいろと検証できたことで
その後の家づくりに活かせることが得られました。
2004年完成の新居の家。この春駐車スペースの拡張工事を施しました。深い軒は、20年前からずっと定番のひとつです。