住む人にまで引き継ぐ「考え方」
2023年09月20日 12:00 pm カテゴリ:家づくり事始め
こんにちは、
スローハンド代表の森田です。
先日、溜まりに溜まった仕事関係の本を整理していたら、
かつて取り組んでいたOMソーラー関連の書籍がたくさん出てきました。
ちょっと懐かしいなあと思って、片付けするときに絶対やってはいけない
「手を止める」ことをしてしまい、そこから1時間弱本に目を通すのに時間を使ってしましました。
さて、そのOMソーラーから今は同じ空気集熱式パッシブソーラーの
「そよ風」と「びおソーラー」に取り組んでいますが、
その空気集熱式パッシブソーラーのシステムそのものを考案したのは、
東京芸大の奥村昭雄先生(2012年逝去)です。
OMソーラーを含めると、スローハンドとして独立する前の会社から通算して、
20数年このシステムに取り組んでいますが、最初にこのしくみを知ったときは、
ほんとに目からうろことはこのことと、思ったことを憶えています。
とにかく太陽熱で暖めた空気で、暖房と換気を同時に行うというしくみは、
シンプルでありながら、理にかなっていて、暮らしの質を大いにあげてくれるものと
一住まい手となった現在、よりそう実感します。
未だ真夏なみの暑さに毎日が続くときに、冬のことを言うのははばかられますが、
よく「ソーラーシステムってあったかいんですか?」と質問されます。
私はそう聞かれると必ず「暖かいというより、寒くないという感じです。」と答えています。
実際に体感された方は、その表現に合点がいくと思いますが、
「寒くない」という表現が、ちょっと誤解されやすいので、
実のところ、ドキドキしながら答えています。
でも寒くないというのがいいと思っています。
熱の伝わり方には、「伝導」「対流」「輻射」の3つがあることは、
よく言われることですが、空気集熱式システムは、空気を暖めて・・・ということから
対流に属すると思われますが、実は輻射なんですね。
もちろん暖められた空気が床下を通じて室内に入ってきますので対流という部分もありますが、
その空気の動きは秒速10センチ程度と、ほとんど感じることがないほどです。
むしろ日が沈んで外が寒さを増すころ、昼間床下のコンクリートに蓄熱した熱が、
放熱されるときにもっとも暖かく感じるんですね。
それは輻射による暖かさといえます。
普通の家では暖房器具が活躍する夜半かけて昼間の温度を保ちながら、
家全体を暖め、輻射暖房の特長である体の芯から暖まるような効果は、
冬の暮らしを質を確実にあげるものだとそう実感しています。
晩年奥村先生は、空気集熱式ソーラーシステムの真髄は、
床暖房というより輻射暖房にあるとおっしゃっていました。
それに加えて住まいにおけるあることの重要性を強調されていましたが、
それについては次回お伝えしたいと思います。