住まいにおける温故知新 6
2023年04月07日 12:00 pm カテゴリ:家づくり事始め
こんにちは、
スローハンド代表の森田です。
格子も古い日本家屋の特徴のひとつといっていいでしょう。
スローハンドでもほぼ定番のように、格子を取り入れています。
ただデザイン上で…ということではなく、
暮らしの用に必要だからということで取り入れています。
ここが大事ですね。
格子の役割は、何といっても視線を遮ることでしょう。
もともと町家のように人が多く、光を取り込むのにも限られた場所で
発達した装置ですが、光を取り込むためには窓がほしい・・・
けれど、道行く人の視線は避けたい・・・そんな中で生まれたものだと思います。
また、同時に防犯の用途も兼ねるので、結構現代の生活にもフィットするものでもあります。
ですから、むやみにやたらに格子を設けるのではなく、
そういった光の取り込みや人の視線、あるいは防犯への有効性などを
きちんと吟味して取り入れるべきでしょう。
たとえば、常に格子の状態となると、視線は遮れても、光や風の取り込みは薄くなります。
そういう場所でもよいところはよいのですが、たとえばリビングやダイニングなど、
気持ちよく過ごしたい場所に常時格子というのは、少し重たいですよね?
ですから、格子を建具にして、開閉ができると便利なわけです。
視線を遮りたい場所って、結局のところいつもくつろげる場所ですよね?
でも、そこがいつも格子の状態ではくつろげないですよね?
時に応じて格子を活用できるようにする。
スローハンドでも定番にしているガラリ(格子)付網戸は、
そういう意図から生まれたものです。
これから夏の時期は、格子の状態にして強い陽射しを防ぐとともに、
通風も確保できるので、いろいろメリットがあります。
そういうところにお金をかけるのは賢い方法ですが、
単にデザイン上格子をつけてみました!!
ということにお金をかけるのは賢明ではないですよね。
また、防犯を意識しないといけない家の裏側の窓には、
アルミの格子を付けるケースが多いですよね。
安価ですし、取付もラクなのでそれはそれでいいと思うのですが、
実はあまり防犯上はとても有効というわけでもないんですね。
結局その格子は本体のサッシと一体ではないので、ビスなどで取付けてあります。
そのビスをはずしてしまうと、簡単に侵入できてしまいます。
むしろ、木で作った格子を作って、取付のビスを隠してしまうようにすれば、
その方がより有効だったりします。
もちろんアルミの格子よりお金はかかりますが、
視覚的にも丈夫そうで侵入しようとするヤカラへの意識的対策にもなりますしね!!
格子がつくる風景には、独特の美しさがあります。
せっかく取り入れるならば、もちろんデザイン上も美しくしたいもの。
なんとなく良さげだから・・・といった理由ではなく、
格子のピッチはどうするか?
太さや間隔はどうするか?
タテにするかヨコにするか?など、しっかり用途とデザインを吟味した上で
取り入れることをお勧めします。